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『被害者も悪い』っておかしくない?ー「ジェンダー」と「人権」を考える

webサイト・いたみん(伊丹市ポータルサイト)2018.5月号

「男と女の「おかしな!?」ハナシ」にコメントを寄せさせていただきました。

今回のテーマは、「『被害者も悪い』っておかしくない?」です。

https://itami-city.jp/mp/okashina_hanashi_hyogo/?sid=63414

【コメント部分】

最近は、地域の安全に関して、警察や自治体などがタイムリーに情報をメール等で発信してくれるようになりました。こうした情報は、日常生活を送る私たち一人ひとりへの注意喚起にもなりますので非常に便利なツールです。私も登録をしているひとりですが、こうした情報を見ていると、特に女性や未成年の子どもたちに対する性暴力、性犯罪が何と多いことか!と、日々感じざるをえません。

また最近は、新聞やTV等でも、援助交際やアダルトビデオへの出演強要、ドメスティック・バイオレンス、そして、セクシュアル・ハラスメントの問題など、これまで女性が多くの場合被害者と位置付けられてきた性暴力、性被害の問題が数多く取り上げられるようになりました。

しかしながら、このように警察等が把握をしたり、メディア等で取り上げられる事例は、全体から言えば氷山の一角です。性暴力の問題はその性質上表に出てこないもののほうがはるかに多くあります。ですから、ニュースだけではなく、ドラマ等でもこうした問題が取り上げられることは、様々な世代や立場の人が、潜在化しがちなこうした問題の「存在」を知り、問題の内容や背景などを「理解」し、その問題を「予防」若しくは「解決」していくために、大事な一歩だと言えるでしょう。

たとえば、最近で言えば、セクシュアル・ハラスメントに関する問題が、様々なメディアでトップ記事として取り扱われたことはご記憶に新しいと思います。そしてこの報道等を通して、私たちは改めて、「セクシュアル・ハラスメントであるかどうかは、被害者の認識が基準になること」「二次被害(セカンド・ハラスメント)への配慮が必要であること」「セクシュアル・ハラスメントが発生した際の事業主の対応の在り方はどうあるべきか」等を理解し、考え直すきっかけを得ました。

さて、この性暴力の問題を語るときに、どうしても指摘をしておきたいのが、「ジェンダーに基づく思い込み」についてです。(なお、「ジェンダー」については、様々な定義があると思いますが、ここでは「社会的・文化的に作られた性に関する分類の在り方」とします。)

被害者の女性たちに対して、「女性がそんな時間に」「女性がそんな薄着でいたから」「女性側も楽しんでいたのでは」等の言葉が投げかけられ、時には女性の職業内容がクローズアップされ、それらゆえに彼女たちへの暴力や被害が、反対に、肯定的にさえ捉えられることもあるのです。そしてその結果、被害女性たちは、再び、別の形で傷つけられてしまうことになります。

性暴力は、間違いなく人権(侵害)の問題です。しかしながら、他でもないその人権を侵害されている被害者への非難、否定的な言葉が、広く、堂々と語られるというのは、他の人権(侵害)の問題ではあまり見られない特徴です。

性暴力、性被害の根絶のためには、他の人権(侵害)の問題と同じように、人権意識を高め、相手の気持ちを思いやる等が基本であることは言うまでもありませんが、それに加え、社会全体でこのジェンダーに基づく偏見、思い込みをなくしていくことも必要だと言えるでしょう。(なお、メディアの報道等がジェンダーに敏感なものかといえば、全てがそうではありません。私たち一人ひとりが、十分に情報を見極める目を養っていく必要もありそうです。)

〔N〕

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