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女性は昇進を望まないイキモノってホント???ー「キャリア教育」とジェンダーの関係を考える

webサイト・いたみん(伊丹市ポータルサイト)2月号

「男と女の「おかしな!?」ハナシ」にコメントを寄せさせていただきました。

今回のテーマは、「女性は昇進を望まないイキモノってホント???」です。

https://itami-city.jp/mp/okashina_hanashi_hyogo/?sid=69381

 

【コメント部分】

 まず、今回取り上げられた「キャリア教育」について、昇進や競争が普遍的に価値の高いものである、追求すべきものであるという考えのもとで行われてはならないと思います。現代社会、資本主義の社会では、とかく、「成功」が、昇進や富を得ることとイコールのものと見られがちです。しかしながら、誰もが、自分自身のたった一度の人生において、自分の能力、持てる力を十分に活かして、自己実現を図ること、これこそが究極の目標であり、追求すべきキャリアなのだと思います。

 とはいえ、様々な女性たちからのご相談を日々受ける中で、やはり女性たちが経済的に自立することの重要性は、たとえば、「離婚」など、彼女たちが直面する問題を考えるとき、改めて強く思うところです。現代社会における女性の貧困は、彼女たちの人生の選択肢を狭め、そして自己実現という究極のキャリアの目標を追求しづらい状況を作ってしまいます。

 結婚や出産のため一度職業から離れてしまうと、次のタイミングでもとの立場、もとの賃金等を得られる職を得ることが難しい日本社会の構造自体が、ジェンダー平等を達成するにあたっての非常に大きな壁であることは言うまでもありません。しかし一方で、やはり女性たち自身が、周囲やまた自分自身の固定された価値観、考え方にとらわれて、結婚や出産といった家庭生活と、それまで積み重ねた職業生活のどちらかを選ばなければならないと思ってしまう必要はないと思うのです。たとえば職業生活について、すこし歩みを遅めることはあっても、完全に途切れさせてしまうことは非常にもったいないことです。これは結果的に、自らリスクの高い選択をしてしまっているとも言えます。残念ながら、人生には様々なことが起こります。配偶者との死別や離婚など、突然に経済的な支柱を失ってしまうリスクが誰にでも起こりうること、そしてそのリスクを回避する人生設計を、若い皆さんに対して家庭や学校で伝えていくこと。これも、キャリア教育において欠かせないことなのではないでしょうか。

 

さて、私自身が、学生を卒業して以来、これまで何とかフルタイムで仕事を続けてこられた背景、モチベーションを振り返ってみますと、それこそ30年、40年前の話ですから、「キャリア教育」と銘打っての授業、カリキュラムが小学校、中学校等にあったわけでもありませんでした。そして私自身は、自分の母親や親族等、周囲に仕事を持って働く女性がほぼいない環境で育ちました。

しかしながらそのような環境であっても、たとえば、学校の先生やお稽古ごとの先生など、「働く女性」の姿に触れる機会はありました。今振り返れば、そうした「ロールモデル」となる女性たちの生き生きとした日々の姿は、知らず知らずにも、自分の将来イメージを描くきっかけになっていたと思います。今では、ドラマや映画等で「働く女性」の姿はたくさん描かれていますし、日々のニュース等の中でも「働く女性たち」の活躍を見聞きすることができます。大人たちが、日々の暮らし、仕事の姿を丁寧に見せていくことが、子どもたちには大きな影響を与えるのではないかと感じるところです。

また、私自身は、たとえば小学生の頃に、学校の担任の先生から「委員長は男の子、副委員長は女の子」と明言され、実際にそのようにクラスが運営されていた時代を過ごしました。そして私は、当時からそのことに疑問、反感を心ひそかに持っていた人間でした。さらにさかのぼれば、幼稚園の頃に、「男の子はこの大きな製作物を作ってね、女の子はこの小さな製作物ね」と言われたことにも反感を持っていた、若しくはそのことを悲しく思った記憶が鮮明にあります。

このように、私自身がかなり小さな頃からジェンダーに敏感だったことも、人生の岐路にたったときや進路を選択する際に、「自分が女性だから」という理由で自分自身に制限、ブレーキをかけることはなかった背景にあると思います。どのようなきっかけで自分自身がジェンダーセンシティブとなったのかは定かではありませんが、学校や家庭で小さな頃からジェンダーに敏感となるような意識づけを心がけること、これも、キャリア教育とまで言わなくても大切なことではないかと思います。そして、このジェンダーにセンシティブであることは、女の子たちだけではなく、一緒に社会をつくり、生活をしていく男の子たちにとっても、もちろん必要なことだと思います。

 〔N〕

 

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