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#Ku Too 靴の苦痛なルールは、誰が決めた?-「ルール」づくりにおける「ジェンダー」・「多様性」の視点について考える

webサイト・いたみん(伊丹市ポータルサイト)7月号

「男と女の「おかしな!?」ハナシ」にコメントを寄せさせていただきました。

今回のテーマは、「#Ku Too 靴の苦痛なルールは誰が決めた?」です。

https://itami-city.jp/mp/okashina_hanashi_hyogo/?sid=67692

 

【コメント部分】

「職場でのハイヒール着用」を職場等で強制されている女性たちが、この時代に、現実にまだ多くいらっしゃるということを、たいへんお恥ずかしながら、私自身、この「#KuToo」の動きが報道されるまで、正直、知りませんでした。

それは、幸いと言えるのでしょうか、これまで、靴のヒールの高さや形を、誰かから指示、強要されるような職場、仕事に就いたことがなかったためだと思います。

しかし一方で、職場での制服の指定、着用の強要を受けた経験はあります。ですから、少なからず、実際にハイヒールの強要を受けている女性たちの気持ちは想像ができます。

また何より、私自身、ひどい外反母趾なので、もしも自分がハイヒールの着用を強要されたらと思うと・・ゾッとします。そのときの自分が置かれた状況にもよるでしょうが、徹底抗戦の構えを見せて職場の決まりと戦うかもしれませんし、反対に完全撤退、つまりそれがゆえに、職を辞することもありうると感じました。

しかし一方で、そこに「無理をしてハイヒールを履く」という選択肢はないな、と直感的に思いました。それだけ、私の足はもはやハイヒールを受けつけないほど、悲鳴をあげている状態なのです。これまでほとんどハイヒールを履いたことがない私ですら、足の問題に悩まされているのに、毎日、ハイヒールを履き続ける女性たちの足への負担、まさに「苦痛」は、いかばかりかと心底思います。

 

さて、このハイヒールの問題を含め、社会には、なんと理不尽、不合理な決まり、規制、強要がまだ多いことか。特に、当事者(この場合は、ハイヒールを履くことになる「女性たち」)を無視した、当事者と同じ属性(女性)にある人がいない中での決め事が多いことかと感じます。まさにこれも「ジェンダー問題」のひとつです。

ものごとの決定者、決定機関に、当事者である女性たちが一定程度含まれていれば、このような意味のない決まりごとを許すはずがない、というのは、これまでの当コラムでも何度も触れられてきたところです。

 

一方で、海外に目を向ければ、同様の問題について誰かが声をあげると、これに対して社会も健全に反応し、対応をしていることが見てとれます。

たとえばイギリスでは、職場でのハイヒールを強要され、それを拒否した女性が帰宅を命じられ給与が支払われなかった件が報道されるや、法改正を求める署名活動が展開され、ハイヒールの強制を禁止する法案が可決されたそうです。またカナダの一部の州でも、同様に、女性従業員にハイヒールを履くことを求める含む規定が廃止されたそうです。

 

あらゆる問題に共通しますが、社会は「多様性」や「個性」をまずは大切にすべきでしょう。そして「ジェンダー(バイアス)」にももっと敏感になるべきです。

もちろん、ハイヒールが好きな人はこれからもドンドン自分が好きなハイヒールの靴を選び履いていただきたいですし、一方で平らな靴が好きな人は、どのような場面でもその自由な意思が尊重されるべきです。

一方で、社会には一定のルール(その中には、ビジネスマナーといえるものも含まれるのかもしれません)が存在するわけですが、そのルールは、やはり合理的で、ルールに従う当の本人こそが納得のいく内容でなくてはならないと思います。

そのために、ひろく社会全般に適用されるルールづくりには、ジェンダーの視点や多様性の視点が不可欠です。これまでに作られた、そして現在でも広く適用されているルール、慣習の中には、あまりにもそのことへの配慮が足りないものが多いと感じます。

こうした「#KuToo」運動をはじめ、様々な社会の決まりごとへの「No!」の表明は、私を含め多くの人が、「それが普通だから」と気づいていなかったり、「どうしようもないことだから」と諦めていた事柄を、あるべき形(誰もが納得する形)に変革をもたらすための、尊い第一歩です。

そうした運動、動きに対し、「一部の人が何か言っているだけ」だと捉えてそこで思考を終わらせるのではなく、当事者であればもちろんのこと、そうでなくても想像力を十分に働かせながら、私たち一人ひとりが、その問題の背景を知り、考え、誠実に応えることこそが、成熟した社会の在り方と言えるのではないでしょうか。

〔N〕

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