Informationインフォメーション

男性も本心では取りたい育児休業ー「ワンオペ育児」と「離婚」について考える

webサイト・いたみん(伊丹市ポータルサイト)9月号

「男と女の「おかしな!?」ハナシ」にコメントを寄せさせていただきました。

今回のテーマは、「男性も本心では取りたい育児休業」です。

https://itami-city.jp/mp/okashina_hanashi_hyogo/?sid=68146

 

【コメント部分】

男性の育児休業、育児参加・・このテーマ、いろいな思いがかけめぐり、書き出したら止まらない可能性がありますが、よろしければどうぞお付き合いください。

日本の男性の育児休業取得率は、約6%。女性の取得率が8割を超えている点と比較すれば、まだまだ男性の取得率の低さが目立ちます。出産は女性だけができるとしても、生まれて1日目からの子どものお世話は、男性も、女性も同じように「新米」父、母ですから、どちらが行ってもよさそうなものの、この差は歴然です。

特に産後1か月程度、女性はゆっくりと身体を休ませるのが、将来の健康のためにも大変重要だと言われています。それを考えると、本来は、まさに「お父さんの出番!」のはずなのですが、たとえ、数日であっても、休まない、休めない男性がいかに多いことか!・・日本の就業環境、企業(のトップ)の意識、そして社会・個人のジェンダー感覚等、様々な問題が孕んでいることを改めて感じます。

男性の育児休業取得については、賃金・給与(減給)の問題、昇進(降格)の問題、職場の理解(無理解)等が大きな要因となって進まないことが言われています。

しかしながら、これらは、働く女性についても全く同じことが言えるはず。それでも女性たちの多くは育児休業を取得しているのです。

こうした状況の違いは、女性自身、積極的に望もうが、望むまいが、子どもを産んだそのあとは、引き続き、仕事(キャリア)を中断して子育てに従事するのが、ある意味、「当たり前」になっていること。そして、社会全体、企業(働く場)全般、そして、私たち一人ひとりの個人の意識が、その「当たり前」を追認し、固定化してしまっていることに背景があるようにも感じます。

こうした現状を打破するためには、地道な意識改革と、たとえば育児休業を取得せざるをえないように制度自体を抜本的に改革すること、この2本立てで行くほかないのかもしれません。

この抜本的な制度改革としては、北欧等で実際に行われている、男性を含めた育児休業の強制的な取得制度、男性を含め母・父双方が育児休業を取得をしなければ手当が受けられなくなるような仕組みづくり、さらに育児休業中の手厚い手当支給を約束すること(たとえば北欧では、休業前の給与の80%を保障している国もあります)などが考えられます。こうした制度的な保障がなく、掛け声ばかりでは、大きな変化は望めないのではないでしょうか。

さて、そうは言っても、もちろん、男女問わず、子どもが生まれてもバリバリと仕事に打ち込みたい人だっています。また、実際に働かなければ経済的に厳しい人もいます。様々な事情から子どもを預けて働いたり、働くための準備をしたいお母さん、お父さんはたくさんいらっしゃいます。そのためには、育児休業の制度・取得の充実もさることながら、たとえば待機児童の解消、保育所の充実も急務です。

「子どもの健やかな成長のためには、3歳までは親が子どもと片時も離れずに時間を過ごすことが大切」などとも聞かれますが、それには何らの科学的な根拠もありません。何より、その子どもの親たちが、「こうしたい」「これが良い」と思える生活を、親子ともに過ごせることこそが大事ではないでしょうか。ずっと子どものそばにいてやりたい親も、子育てだけでなく仕事にも充実感を感じたい親も、誰もが自分の人生も大切にしながら、新しい命にもしっかりと向き合える社会であってほしいと思います。

親が毎日笑顔でいること、それが子どもにとっても一番の栄養、成長の糧になるのではないでしょうか。

さて、すこし視点を社会制度の問題から家庭内に移すと、男性が育児にかかわることの重要性は、日々、法律相談等でお話を聞いていると非常に感じるところです。男性の育児参加の有無、程度が、「家庭の存続」にかかわるといっても大げさではありません。

といいますのは、離婚のご相談に来られる女性の多くは、ご夫婦の関係について、「子どもが産まれるまではよかった、問題はなかった」とおっしゃいます。けれども、「子どもが産まれても、まるで夫が子育てに参加してくれない」「子どもが産まれてから、私への暴力や暴言、無視が始まり、ひどくなった」「子どもにばかり構う私を責めて、家に帰ってこなくなった」等のお話は非常に多く聞かれます。

妻が離婚を考え始めるターニングポイントの一つは、間違いなく、この「子育て(期)」なのです。

こうした、いわゆる「ワンオペ育児」の大変さは、私自身が、遅まきながら子育てに奮闘するなかで、まさに「実感!」として非常に感じるところです。いつも「うん、うん。そうですよね。」「私たちって、頑張ってますよね。」と共感しながらお聞きしているところです。

とにかく、子どもを育てるということは、大変です。やるべきことは盛りだくさんで、待った無し。それが24時間、365日続くわけです。猫の手も借りたいほどですから、まずは近くにいる夫(子の父親)の手が欲しいのです。一緒に横に並んで子育てをして欲しいのです。・・そして、仮にそれができないならば、百歩譲って、とりあえず、夫には自分のことは自分でして欲しいのです。

日々子育てに奮闘する人(それは主に女性が多いですが)は、すでに子どもが産まれた瞬間から、その生活のスタンス、心の持ち方が切り替わっています。まずは子ども優先での生活です。しかし、一緒に気持ちを切り替えてもらいたいパートナ―(残念ながら男性に多いですが)は、まだまだ妻との二人きりの生活のまま、時が止まってしまっている、妻に依存しきっている・・そんなご夫婦には、夫の知らない間に離婚の危機が訪れている場合が多いのです。

(男性には耳が痛いでしょうが、ぜひ、もう一度だけ言わせてください!)

特に、子育て家庭の男性の皆さん!「自立した」男性になってください。この「自立」したは、日常生活に関してで、まずは十分です。育児休業を取得しても、しなくても、まずはモードを切り替えて、ギアをチェンジして、自分のことはまずは自分でするようにしたいものです(当たり前のことなのですが、それができていない人も実は非常に多いのです)。そして願わくば、育児・家事スキルも妻と一緒に高めていただけたら、それこそ鬼に金棒!・・幸せな家庭生活・家族関係が続くことと思います。

〔N〕

  1. Information一覧に戻る

PAGE TOP