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輝く女性・輝く男性って?ー真に「誰もが輝ける社会」について考える

webサイト・いたみん(伊丹市ポータルサイト)12月号

「男と女の「おかしな!?」ハナシ」にコメントを寄せさせていただきました。

今回のテーマは、「輝く女性・輝く男性って?」です。

https://itami-city.jp/mp/okashina_hanashi_hyogo/?sid=68949

 

【コメント部分】

ここ数年、「輝く女性を応援する」「すべての女性が輝く社会に」と言った言葉を見聞きするようになりました。

とはいえ、こうした言葉に対して、社会から、特に女性たち自身から、

「私たちのことをそんな風に応援してくれてありがとう!」「女性たちが『輝く』社会、素敵だよね」と言った声が聞こえたり、

賛同する風潮は、(一市民の実感として)残念ながら芽生えているようには思えません。

これはどうしてでしょう・・

それはやはり、言葉ばかりが先行して、実際の女性たち若しくは男性を含めた社会の実態や思いとは

かけ離れた(若しくは十分ではない)法律、施策ばかりが華々しく打ち上げられ

そのたびに、それぞれの立場にいる女性たちにとっては、「いや、そんなことでは輝けないよね」

「私は、置いてけぼり?」「そもそも輝くって?」と心のモヤモヤが増えていくばかりだからではないでしょうか。

 

女性が輝くことを目指した象徴的な法律ともいえるのが、2016年に施行された「女性活躍推進法」です。

この法律の正式名称は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」ですが、まさに、

「職業生活」に就いている女性の活躍を念頭においた法律です。

現在、「輝く女性」のための施策といえば、この法律が中心的な位置づけをもって進められていると思われます。

しかしその時点で、まず、「女性は働いていないと輝けないのか」という反応を、女性の多くは持つことでしょう。

政府は、「いやいや、これは『職業生活における女性』に特化した法律なのだから、ほかに様々な方策を講じて『すべての女性が』輝く社会を目指していますよ」と言うことでしょう。

しかしながら実態はどうでしょう?

 

たとえば、離婚をしたシングルマザーの中には、経済的に困窮しているにもかかわらず、本来、

子どもたちが当然に受け取ることができるはずの養育費について、別れた配偶者と約束ができていない、

約束ができていても支払いがなされていないケースが多々あります。

こうした実態に対し、他国に比べて、わが国では取り決めの履行確保の手段は極めて貧弱です。

 

また、結婚によって、96%もの女性たちは、生まれて以来慣れ親しんだ氏(苗字)を夫の氏に変更しています。

婚姻により同氏が強制されている法律が、わが国には存在しているためです。

こうした法律は、すでに他のほとんどの国ではなくなっています。

同氏でも別氏でも構わない、選択制が採られたならば、どれほど自由な意思を貫徹でき、救われ、輝ける女性が増えることでしょう。

さらに、女性が被害者となることが多い性犯罪、性暴力に関して、わが国の刑法典では、非常に厳しい犯罪成立のための要件が存在しています。

このことが高い壁となって、多くの勇気を振り絞って立ち上がった女性たちが、司法(裁判所、捜査機関)により再び暗闇の底に突き落とされています。


こうした既存の法律や制度については、長年にわたり、上記のような視点から批判が繰り返され、見直しの声があがっています。

それにもかかわらず、具体的な見直しが行われる気配は一向になく、かえって見直すことに頑なさを感じるほどです。

こうした様子、現実社会を見るにつけ、「(国は)本当に女性に輝いて欲しいと思っているのだろうか」と

正直なところ思ってしまう人は少なくはないのではないでしょうか。

 

そして、今一度、「女性活躍推進法」の法律制定の背景や、現在行われているすべての女性が輝く社会を目指す活動の趣旨を読み直すと、

大きくは、(1)労働力が不足する中、働き手としての女性への期待が大きいこと、(2)少子化の中、子どもの出産について女性への期待が大きいこと、が見え隠れしています。

確かに、既存の社会の仕組みや社会の発展の在り方を是とするならば、この女性の労働参加率の向上と出生率の改善は何より大切なものといえるのかもしれません。

しかし、21世紀、そして令和と、着実に時代は進み、社会は多様化、またグローバル化しています。

労働の内容も質量ともに変化していますし、誤解を恐れず言えば、人口増加ばかりが価値あるものといえるのか、

そうした価値観の見直しも同時に行う必要があるのかもしれません。

女性活躍推進法では、企業が行動計画を定めるにあたり、状況を把握すべき項目として、たとえば「採用者に占める女性割合」や

「男女の平均勤続年数」等の項目があげられています。

しかしこのような数字で把握し分析ができるものではなく、たとえば、男女の性別役割分担意識をはじめとする、

人々の既存の意識の見直しこそが、社会が本腰を入れて取り組むべき事柄ではないかと思います。

 

ジェンダー平等を達成した北欧の国々でも、かつては役割分担意識が強かったと言われていますが、

国をあげての意識改革が、今日の社会の在り方を形づくる基盤となりました。

女性だけでなく、誰もが、自己実現を果たせる社会となるには、既存の枠組みをガラリと変える勇気が必要ですが、

いつの日かそういう社会になれば、そこでは誰もが自然にキラキラと輝いていることでしょう。

〔N〕

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